読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

コンロの火種

つまみをひねるといつものあのカチカチ音が聞こえない。

おや、と思いもう一度ひねるも音はしないし火もつかない。

顔を近づけるとガスの臭いはするし、スー、という噴出音も聞こえるが、コンロの奥でカチカチ音とともに光っていたアークが消えている。

つまり、コンロの火種が切れたというわけだ。

壊れやがった、と思いとりあえずコンロを掃除の時みたくバラしてもう一度組み立ててみるも、火はつかない。

あきらめ半ば、コンロ下の調理棚を開けてガス元を見てみるも、ガス栓は「開」にひねられている。やっぱりガスは問題ないんだ、と目線をさらに上に移すと、くぼみから頭が飛び出している単2の寸胴な電池が見えた。

今にも落ちそうな形のそいつを指でぐいっと押し込み再度つまみをひねると、カチカチカチ、という音とともに、ボッ、と火がついた。

 

なるほど、今までのコンロの火種は全部君の仕事だったのか。

 

5年住んでて初めて電池の存在に気が付いた。

なんだか嬉しくなったのはなぜだろう。